ベートーヴェンから近代へ/
矢崎彦太郎=群馬交響楽団、岡田博美を迎えて
音楽祭初日は恒例の群馬交響楽団によるオーケストラ演奏をお楽しみいただきました。
1曲目は西村朗『弦楽のための悲のメディテーション』。4つの異なる感情を表したとされる曲で、メディテーション(瞑想)というタイトルですが、ずっと静かに沈んでいるというのではなく、むしろ活動的なシーンもありました。気になるのは、作曲家によると3曲目のフガートですが上野駅のホームで思い浮かんで頭から離れなくなったものだそうです。多くの人が列車に乗り旅をする駅には芸術家の魂を揺さぶる何かがあるのでしょうね。
駅や鉄道と作曲家、と言えば、ドヴォルジャーク。(我ながら上手いつなぎ(苦笑))鉄道大好き作曲家として有名ですね。
この日のメイン曲はドヴォルジャークの交響曲第8番。俗に「イギリス」という名前で呼ばれることもありますが、出版がロンドンのノヴェロ社によるもので(これまでの付き合いのジムロック社の待遇に腹をたてて鞍替えしたとのこと)、曲の内容には関係はありません。プラハの郊外のヴィソカーで書かれ、作曲家48歳の円熟期、あふれんばかりの名旋律の宝箱みたいな名曲です。
中プロはベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番。指揮者の矢崎彦太郎さんと群響、ソロの岡田博美さんの組合せも、もう御馴染みの顔合わせ。岡田さんの常に変わらぬ完璧で切れの良いベートーヴェンが披露できたのではないでしょうか。
アンコールはチャイコフスキーの歌劇『エフゲニー・オネーギン』よりポロネーズで盛り上がって終演となりました。