Loading

草津アカデミーとテーマ

 

草津アカデミーでは、毎年テーマを決め、そのテーマに沿って学習し、コンサートのプログラムを構成しています。

第42回(2022年)のテーマ:ロッシーニ生誕230年~その時代のヨーロッパ

原画:西村 繁男

今年のテーマと音楽祭

1792年生まれのジョアキーノ・ロッシーニは、イタリア・ボローニャの音楽院で学んでいた頃、ハイドンやモーツァルトに憧れ、先人の作品を分析し古典派様式を深く学び、18歳を迎えた1810年からは遅咲きながらオペラ・ブッファで成功して、ヨーロッパ中で人気作曲家となった。

 今年は、そのロッシーニの生誕230年と言うだけではなく、ロッシーニがイタリア語圏を飛び出し、当時の音楽の最先端都市ウィーンへやって来てちょうど200年となる。彼がウィーンを訪れるより前の1816年にはすでにロッシーニのオペラはケルントナートーア劇場で上演され、ウィーン中がその魅力に引き込まれていた。そして、彼がウィーンに初めて登場した1822年3月から7月の滞在期間約100日間に、ケルントナートーア劇場とアン・デア・ウィーン劇場で彼の4作品が計63回も上演されるという大フィーバーまで起こっていた。この現象はベートーヴェン、シューベルトに至るまでのウィーンの作曲家に多いなる影響を与えた。当時の作曲家の作品からも、ウィーンでのロッシーニ・フィーバーがどんな様子だったのか容易に想像できるのではないだろうか。

例えば、今年の音楽祭8月29日のプログラムで取り上げるシューベルトの「イタリア風序曲」はロッシーニ旋風の真っただ中の1817年に作曲されている。もともとは「イタリア風」という名称は付けられておらず、後年、彼の兄フェルディナントが書き込んだという説もある。ただ、ロッシーニらしい美しい旋律や徐々に盛り上げていくロッシーニ独特のクレッシェンドなどを取り入れているところから、シューベルトがロッシーニから受けた影響が所々で現れている作品と感じられる。同プログラム内で取り上げているシューベルトの交響曲第5番(1816年)と合わせて当時の流行にのってシューベルトが筆を進めた様子を皆様の想像力を膨らませて楽しんでいただきたい。

 ロッシーニはその後、パリでもウィーンと同様に大成功を収める。1824年からはパリのイタリア歌劇場の音楽監督にもなり、その後作曲されたフランス語のオペラ『ウィリアム・テル』は、オペラで世に名を馳せた彼の最後のオペラ作品となった。晩年は、今年の当音楽祭のテーマ原画のように、専ら食通として、おいしい料理やワインばかりを飲んでいたと言われる。ちなみに、原画の後方右側に立っているのはフランスの作曲家セザール・フランクだが、彼は1822年生まれで生誕200年。ロッシーニがちょうどウィーン旋風を巻き起こしているころに産声をあげたことになる。また、フランクのとなりにいるカミーユ・サン=サーンスは1921年12月に亡くなっていて、この夏、音楽祭が開催される8月の時点では没後100年。二人ともオルガニストでもあり、多くのオルガンやハーモニウムの作品を書いたし、ロマンティックな室内楽作品も人気が高い。彼らの作品も、今回いくつか取り上げている。

このように、今年の草津では、ロッシーニに影響を受けた作品、そして逆にウィーンを含むドイツ語圏の作曲かがイタリアに与えた影響、またロッシーニのフランスでの成功の後に活躍したフランスの作曲家にも視野を広げたプログラムを組んでみました。

3年ぶりに海外からの講師を招き、また、ウィーン楽友協会アーカイヴ元所長のオットー・ビーバ博士を企画委員に迎えた渾身のプログラムをどうぞお楽しみください。

これまでのテーマのご紹介

第1回(1980年):ヨハン・セバスティアン・バッハの音楽
第2回(1981年):ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの音楽
第3回(1982年):ブラームスとバッハの音楽
第4回(1983年):シューベルトの音楽
第5回(1984年):フランツ・ヨゼフ・ハイドンの音楽
第6回(1985年):J.S.バッハと息子たち
第7回(1986年):R.シューマンの音楽
第8回(1987年):モーツァルトとマンハイム楽派の音楽
第9回(1988年):フランス音楽(ベルリオーズ、ドビュッシー、ラヴェル)
第10回(1989年):ベートーヴェンの音楽
第11回(1990年):1790年をめぐって―古典派からロマン派へ
第12回(1991年):1830年―ロマン派音楽の胎動
第13回(1992年):1750年―バロックからクラシックへ
第14回(1993年):二つの世紀末
第15回(1994年):シューベルトとその時代
第16回(1995年):ウィーン古典派への道 モーツァルト・ハイドン
第17回(1996年):ワーグナーとブラームスの時代
第18回(1997年):バッハと現代
第19回(1998年):ベート―ヴェンの時代
第20回(1999年):古典と現代
第21回(2000年):バッハとロマン派音楽
第22回(2001年):モーツァルトの旅
第23回(2002年):音楽都市パリとウィーン
第24回(2003年):ロマン主義の流れ
第25回(2004年):バッハからベートーヴェンへ
第26回(2005年):ドイツの都市と音楽
第27回(2006年):モーツァルトと18世紀
第28回(2007年):ベートーヴェンからブラームスへ
第29回(2008年):18世紀の音楽 バロックからクラシックへ
第30回(2009年):1809年 ハイドン没後・メンデルスゾーン生誕200年
第31回(2010年):シューマン、ショパンとビーダーマイヤーの時代
第32回(2011年): 「未来の王国に」フランツ・リストとロマン主義音楽
第33回(2012年):生誕150周年 C.ドビュッシーとW.A.モーツァルト
第34回(2013年):リヒャルト・ワーグナー生誕200年~わたしはどこから来たのか~
第35回(2014年):リヒャルト・シュトラウス生誕150周年~ミュンヒェン、ウィーン、ドレスデン
第36回(2015年):1815年ウィーン、ビーダーマイヤー時代、1915年ドビュッシーと20世紀の音楽
第37回(2016年):イタリアから、イタリアへ
第38回(2017年):モーツァルトの奇蹟
第39回(2018年):自然が創造する音楽
第40回(2019年):バッハからシューベルトへ
第41回(2021年):ベートーヴェンから現代へ


Twitter

Facebook

PAGE TOP