音楽祭スタッフによるコンサートピックアップ 8/30(tue)
2016年シーズンのフィナーレはブラームス弦楽六重奏第1番。このコンサート感想文コーナーのシメには、やはり公演最後のこのメインの曲にしました。
元ウィーン・フィルのヒンク先生と元ベルリン・フィルのベッチャー先生の共演も草津音楽祭だから聴ける醍醐味。セカンドヴァイオリンは元群馬交響楽団コンサートマスターの大関さんで、ヴィオラはパノハ四重奏団のセフノウトカ先生に、クァルテット・エクセルシオの吉田さんと大友さんが加わった混成チーム。
この名曲のどこにスポットを当てようかと迷いましたが・・・ヴィオラ職人のセフノウトカさんに注目しました。ヒンク先生やベッチャー先生はこれまでに何度となく登場としていますし。名人の大友さんの楽しそうにアンサンブルをしている表情にも触れたかったところですが…
セフノウトカさんのなにが素晴らしかったのか。やはりカルテットヴィオリストという専門家のなしうる匠の技ともいうべきか、1楽章の1stヴァイオリンとオクターヴの旋律があれば寄木細工のようにぴたりと音を併せつつも下からしっかり支え、かと思えば2楽章の有名な冒頭の旋律では朗々と張りのある力強いヴィオラのすばらしさを聴かせる等々、アンサンブルもソロも超一級に感銘をうけた演奏でした。セフノウトカ先生はパノハSQのメンバーの中では無口で控えめ。セカンドのザイフェルトさんのマスコットキャラクター的なチャーミングさとは対照的。どちらかと言うと一人で静かにしていたりすることも多く厚い眼鏡の奥でじっと見つめている表情がちょっとコワそうな第一印象があったのですが、昨年、筆者がドヴォルジャークの四重奏をマスタークラスで受講した時には、優しい笑顔で親切に教えていただけたので(ちょっと英語に詰まってはにかむところがまた良かったり)、実は物静かで優しいお方と判明。ヴィオリストらしい控えめながら一流の腕を持つ職人さんなのですね。(MY)