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草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル

第42回草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル

2022年8月17日(水)~30日(火)

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2022年のテーマ 「ロッシーニ生誕230年~その時代のヨーロッパ」

草津アカデミーでは、毎年テーマを決め、そのテーマに沿って学習し、コンサートのプログラムを構成しています。

1792年生まれのジョアキーノ・ロッシーニは、イタリア・ボローニャの音楽院で学んでいた頃、ハイドンやモーツァルトに憧れ、先人の作品を分析し古典派様式を深く学び、18歳を迎えた1810年からは遅咲きながらオペラ・ブッファで成功して、ヨーロッパ中で人気作曲家となった。

今年は、そのロッシーニの生誕230年と言うだけではなく、ロッシーニがイタリア語圏を飛び出し、当時の音楽の最先端都市ウィーンへやって来てちょうど200年となる。彼がウィーンを訪れるより前の1816年にはすでにロッシーニのオペラはケルントナートーア劇場で上演され、ウィーン中がその魅力に引き込まれていた。そして、彼がウィーンに初めて登場した1822年3月から7月の滞在期間約100日間に、ケルントナートーア劇場とアン・デア・ウィーン劇場で彼の4作品が計63回も上演されるという大フィーバーまで起こっていた。この現象はベートーヴェン、シューベルトに至るまでのウィーンの作曲家に多いなる影響を与えた。当時の作曲家の作品からも、ウィーンでのロッシーニ・フィーバーがどんな様子だったのか容易に想像できるのではないだろうか。

例えば、今年の音楽祭8月29日のプログラムで取り上げるシューベルトの「イタリア風序曲」はロッシーニ旋風の真っただ中の1817年に作曲されている。もともとは「イタリア風」という名称は付けられておらず、後年、彼の兄フェルディナントが書き込んだという説もある。ただ、ロッシーニらしい美しい旋律や徐々に盛り上げていくロッシーニ独特のクレッシェンドなどを取り入れているところから、シューベルトがロッシーニから受けた影響が所々で現れている作品と感じられる。同プログラム内で取り上げているシューベルトの交響曲第5番(1816年)と合わせて当時の流行にのってシューベルトが筆を進めた様子を皆様の想像力を膨らませて楽しんでいただきたい。

ロッシーニはその後、パリでもウィーンと同様に大成功を収める。1824年からはパリのイタリア歌劇場の音楽監督にもなり、その後作曲されたフランス語のオペラ『ウィリアム・テル』は、オペラで世に名を馳せた彼の最後のオペラ作品となった。晩年は、今年の当音楽祭のテーマ原画のように、専ら食通として、おいしい料理やワインばかりを飲んでいたと言われる。ちなみに、原画の後方右側に立っているのはフランスの作曲家セザール・フランクだが、彼は1822年生まれで生誕200年。ロッシーニがちょうどウィーン旋風を巻き起こしているころに産声をあげたことになる。また、フランクのとなりにいるカミーユ・サン=サーンスは1921年12月に亡くなっていて、この夏、音楽祭が開催される8月の時点では没後100年。二人ともオルガニストでもあり、多くのオルガンやハーモニウムの作品を書いたし、ロマンティックな室内楽作品も人気が高い。彼らの作品も、今回いくつか取り上げている。

このように、今年の草津では、ロッシーニに影響を受けた作品、そして逆にウィーンを含むドイツ語圏の作曲家がイタリアに与えた影響、またロッシーニのフランスでの成功の後に活躍したフランスの作曲家にも視野を広げたプログラムを組んでみました。

3年ぶりに海外からの講師を招き、また、ウィーン楽友協会アーカイヴ元所長のオットー・ビーバ博士を企画委員に迎えた渾身のプログラムをどうぞお楽しみください。

イメージ・イラスト

第42回イメージイラスト
画・西村繁男

2022年もポスターやチラシに使われるイメージイラストを絵本作家の西村繁男さんに制作いただきました。

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