ヴォルフガング・ベッチャーを偲んで/
桒形亜樹子チェンバロと室内楽
当アカデミーから、これまでにも多くの若い演奏家を送りだしてきましたが、本日演奏したチェンバロの桒形亜樹子さん、チェロの荒井結さんと北村陽さんの3人とも草津のアカデミー卒業生です。本公演では、今年2月に惜しまれつつご逝去されたチェロのヴォルフガング・ベッチャーさんの追悼コンサートでした。
荒井さんと北村さんは共にベッチャー・クラスを受講していました。ベッチャー先生は元気いっぱいで優しく寛容な先生として生徒たちからとても慕われていました。大きな笑い声と身振り手振りでお話しされていたのを思い返されます。スタッフの間では、先生はよく草津の山を散策されたそうなのですが、なんと一度、散歩中に熊に出くわしてしまったとかで、後にそのときのことを「Kuma ita-!(くまいたー、日本語)」と手を広げて大きな声でみんなに話されていたことが語り継がれています。
本公演のプログラムは17世紀ドイツの鍵盤音楽の大家フローベルガーのパルティータ(組曲)ハ調に始まりました。桒形さんは追悼の意を込めてこの曲を演奏されたとのことです。また、チェンバロとチェロの室内楽のコンサートの中から、18世紀バリエールのチェロと通奏低音のためのソナタ集第4番の公演の様子がこちらでご覧いただけます。