澤クヮルテットの世界
ベートーヴェンからウェーベルン、尹まで
昨年は音楽ファンにとって重要なベートーヴェン・イヤーでしたが、残念ながら新型コロナの影響で当音楽祭も中止。しかし、そのリベンジの気持ちがそれとなく顔を見せる今年のプログラムです(我が音楽祭に限らないかと思いますが)。
19日のコンサートは、1990年より続く日本の名門弦楽四重奏団である澤クヮルテット。17日のコンサートに続き、ベートーヴェンから現代音楽までをつなぐといったコンセプトによるプログラムで、ベートーヴェンの中期の大作である弦楽四重奏曲第7番『ラズモフスキー第1番』、ウェーベルンの若き時代に書かれた弦楽四重奏団(1905年)、イサン・ユンのオーボエ四重奏曲、そしてアンコールはベートーヴェンに戻って第16番第3楽章でした。
ウェーベルンというとセリエリズムの作品が思い浮かばれますが、この1905年は非常にロマンティックな美しさが前面にでたもの。イサン・ユンの作品は各パートがあたかも関連なく独立してごっちゃごちゃに聞こえて、現代音楽に馴染みが薄いと聞いているのがしんどい作曲家ですが、このオーボエ四重奏曲の中間部は憂いと厳しさのこもった大変美しい曲。この曲を共演した高橋鐘汰さん(Ob)は草津アカデミーの卒業生(インデアミューレ・クラス)で、素晴らしい熱演を披露してくれました。ご縁あってマスタークラス受講生がまた草津の音楽の森コンサートホールに帰ってきて、名演奏家たちと共演するとことになるというのは音楽祭講師陣・スタッフ共々大変嬉しいことです。(来年はアカデミーのマスタークラスが再開できることを願って…。)
公演の様子はこちらの公式Youtubeチャンネルより!澤氏のインタビュー付きです。