2020年8月に開催予定だった第41回草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルは、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響により、残念ながら中止となってしまいました。音楽祭は開催できませんが、今年参加を予定していた講師の先生方7名からメッセージをいただきましたのでご紹介します。
第6回目は、ピアノのブルーノ・カニーノ先生からのメッセージです。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中の人々にとって(特に私の住むイタリアでは)大変な時期となりましたが、私たち音楽家にとっても特に厳しい時間でした。皆さんは非常に辛抱強いし、ピアニストになるためには忍耐が不可欠であることは既にご存知でしょう。今はもどかしいかもしれませんが、皆で2021年の草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルに参加できるよう、早く時間が過ぎてくれることを願いましょう。
私はこの外出できない時間を利用し、今まで弾いたことのない作品に取り掛かってみました。受講生の皆さんにとっても、新しい作品を知る良い機会になるかもしれません。アーティスト、特に若い方々は、好奇心を持つべきです。偉大な作曲家を1人選んでその作曲家の作品を練習しながら、今まで好きではなかった作曲家や、以前は難しすぎる、もしくは簡単すぎると感じた作品をもう一度分析してみるのもいいでしょう。偉大で有名な作品だけを練習するのではなく、小さくても貴重な作品を交互に練習することで、新しい感情や新しい音を発見することができるはずです。この時期を有効に使ってください。それではまたお会いしましょう!
It has been a tough period for everybody in the world, (particularly in my Italy) and especially hard for us musicians. You have been very patient, you know how patience is absolutely necessary to be a pianist; but now we have to be impatient, hoping the time will run very quickly in order to bring us to the Kusatsu Festival 2021.
At the moment, in this difficult moment, I tried to learn pieces I never played, instead of working and reworking my old repertoire. Also for you it could be a good chance of exploring new material: artists, especially young artists, should be curious; stay on the same great composers, but also analyze works you never like them, or you found too difficult or too easy, also don’t plan to play only great, famous works, but alternate them with small, precious pieces, from which you can discover new feelings and new sounds. Use well the strange period: and we’ll meet again!
ブルーノ・カニーノ
ピアニスト / 第14回(1993年)から計15回参加。
ミラノ音楽院でピアノと作曲を、ベルン音楽院でピアノと室内楽を学ぶ。ソリストとして、C.アバド、R.シャイー、W.サヴァリッシュ、P.ブーレーズ等著名な指揮者のもと、有名オーケストラと共演。室内楽では、S.アッカルド、U.ウーギ、L.ハレル、V.ムローヴァ等と共演し、A. バリスタとのピアノ・デュオ活動は50年以上にわたる。ミラノ音楽院で24年、ベルン音楽院で10年間教授を務めた。
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次回は、明日8月7日(金) にカリーン・アダム先生(ヴァイオリン)からのメッセージをご紹介します。