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草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル

STAFF BLOG

2019年のコンサート聴きどころ・8月24日編

これを読むと聴きに行きたくなる!あなたの耳と脳を刺激する今年のコンサートのおすすめポイント。

8月24日(土)

チェンバロからピアノへ/遠山慶子のショパン:マズルカ

この日は前半にいずれもチェンバロを使用するバッハの傑作を3曲、対して後半は現代ピアノによるショパンのマズルカから13曲、その間に音楽監督のギター曲をひとつ挟むという構成。これらが文字通りのオールスター・キャストで演奏される、草津ならではの豪勢なコンサートです。
 《イタリア協奏曲》は言うまでもなく“協奏曲風”に書かれたチェンバロ独奏曲。バッハ屈指の名作を、クラウディオ・ブリツィがいきいきとしたソロで楽しませてくれるはず。次の《フルートとチェンバロのためのソナタ、ロ短調》はウィーン・フィル、フルート・セクションの若きエース、カール=ハインツ・シュッツの出番。彼はいまや、草津でも人気絶頂の感がありますね。3曲目のニ長調のソナタは、バッハがヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのために書いた3曲のうちの1曲を、オーボエ・ダモーレ用にアレンジして演奏するものです。草津アカデミーの“ヌシ”とも言える大家トーマス・インデアミューレの妙技と、“愛のオーボエ”の独特のねいろに魅了されることでしょう。
 《天女散花》は西村朗が2012年に作曲したギター協奏曲。北京で観た京劇にインスピレーションを得て書かれたというこの作品を、日本を代表するギタリストでこの曲を献呈された本人でもある鈴木大介が、今回はオーケストラ抜きのソロ版で演奏します。
 さてお待ちかね、コンサートの後半は長く音楽監督を務めた夫の遠山一行とともに“草津”の支柱としてアカデミー&フェスティヴァルを支え続け、ピアノを弾いては熱烈な支持者を無数に持つ遠山慶子の登場です。今年のプログラムはショパンのマズルカ! 前奏曲や練習曲、バラードやスケルツォといった大物たちに比べると地味で控えめな世界のようですが、実はこれがまことに奥の深い、汲めども尽きぬ美の宝庫! 因みに遠山一行は著書「ショパン」の中で、いみじくも次のように記しています。
 「ワルツが、ピアニストの即興を生み出したサロンの雰囲気をかなり生のままの形で感じさせるのに対して、マズルカは、作曲家の内面における厳密な醸造の過程を経た作品である。」
  実際マズルカは、むしろショパンのデリケートな心の襞を、最も美しく、シリアスに、そして正直に語りかけてくるジャンルのひとつではないでしょうか。今回は60曲近くあるミクロコスモスのうち、厳選した10曲が演奏されます。最初期の「作品6」や20歳代初めの「作品17」に対し、後半は死を間近に控えた最後の時期の作品が慎重に選ばれています。個々の選曲の妙とともに、素朴で哀しい、寂しくも美しいマズルカ独特の魅力が、ひたひたと心に迫るに違いありません。

文・大木正純(企画委員)

8月24日(土) チェンバロからピアノへ/遠山慶子のショパン:マズルカ

出演 遠山慶子(Pf)、K-H.シュッツ(Fl)、T.インデアミューレ(Ob)、C.ブリツィ(Cemb)、鈴木大介(Guit)

2018年の遠山慶子の演奏の様子。

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