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草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル

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2019年のコンサート聴きどころ・8月19日編

これを読むと聴きに行きたくなる!あなたの耳と脳を刺激する今年のコンサートのおすすめポイント。

8月19日(月)
パノハ弦楽四重奏団とタマーシュ・ヴァルガ/シューベルト:アルペッジョーネ・ソナタ(室内楽伴奏版)

毎年決まって、パノハ・クヮルテットを聴くために遠路はるばる草津まで足を運ぶというファンが少なからずいらっしゃいます。高原の爽やかな空気の中で彼らのすがすがしいアンサンブルを聴くのは、たしかにまたとない楽しみに違いありません。今年のプログラムにはテーマ作曲家シューベルトの作品がずらりと並びました。思えばパノハ・クヮルテットのLPレコードでシューベルトの演奏が日本に始めて紹介されたのは、もう40年(!)も前のこと。ジャケット(写真参照)をみると、第2ヴァイオリンのゼイファルトさんなど、とうてい同一人物とは思えないほどの別人ぶり(??)です。

パノハ・クヮルテットのLPレコードジャケット


 1曲目の弦楽四重奏曲変ホ長調D.87は、通例「第10番、作品125-1」という大きな番号が付いていて紛らわしいのですが、実は16歳の年の若書きで、いわゆるハウスムジークすなわち家庭内か気のおけない音楽仲間たちとのプライヴェートな機会のための書かれた作品にほかなりません。それでも少年の腕前はもう完全に一級品。ほかの誰でもないシューベルトならではの歌に満ちたこの曲をパノハの面々は昔からお気に入りで、コンサートでもしばしば取り上げてきました。次の《ロザムンデ》は、これはもう名曲中の名曲として知られるもの。20歳代最後の3年間に書いた不滅の弦楽四重奏曲3曲のうちの最初の1曲で、中でも第3楽章の変奏曲主題は、オーケストラ・コンサートのアンコールなどにもよく登場する、あのあまりにも有名な楽想です。
 弦楽五重奏のための《序曲》は「D.8」という番号からもわかるように最も初期の作で、1811年6月29日の日付があります。何と14歳の作、ということになりますね。これももちろん、家庭音楽会の愉しみに供されたことでしょう。弦楽四重奏用に編曲された版もありますが、今回はオリジナルの、ヴィオラの重複する五重奏で演奏されます。そしてコンサートの締めくくりはとびきりの人気作《アルペッジョーネ・ソナタ》。おなじみの曲、と言いたいところですが、今回はオリジナルの「アルペッジョーネとピアノ」のアルペッジョーネをチェロに置き換えた通常の姿ではなく、チェロと弦の四重奏(ヴァイオリン2、ヴィオラ1、コントラバス1)用にアレンジしたユニークな形で紹介されるのが特筆すべきポイントです。チェロ+弦の重奏という編曲の前例がないわけではないのですが、この日演奏されるのはわれらがタマーシュ・ヴァルガが新たにアレンジしたニュー・ヴァージョンの世界初演(!)。さてどんな《アルペッジョーネ》が出現するのか、興味津々でその時を待つことにいたしましょう。

文・大木正純(企画委員)

8月19日(月) パノハ弦楽四重奏団とタマーシュ・ヴァルガ/シューベルト:アルペッジョーネ・ソナタ(室内楽伴奏版)

出演:パノハ弦楽四重奏団タマーシュ・ヴァルガ

2018年8月18日 パノハ弦楽四重奏団と仲間たち/
A.ドヴォルジャーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 作品96 B.179「アメリカ」

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