音楽祭スタッフによるコンサートピックアップ 8/19(Fri)
本日は本アカデミー教授陣そろいぶみの、まさに築地の豪華海鮮丼か千疋屋のフルーツパフェかみたいな、どこから食べたらいいか箸に迷うような(あ、つまりどの曲をピックアップしたらよいか悩む)ラインナップでした。
◆G.B.ペルゴレージ:シンフォニア ヘ長調
このシンフォニアの終楽章prestoは、ストラビンスキーのバレエ音楽「プルチネッラ」で使われていますので、このユーモラスな旋律はご存知の人も多いのではないかと思います。チェロと通奏低音のために書かれたこの曲を、今日はトロンボーンのバウスフィールド先生とオルガンをブリツィ先生によるバージョンで演奏されました。
一昨年のR.シュトラウスのホルン協奏曲をトロンボーンで吹いた演奏を聴いた時も驚愕したのですが、バウスフィールド先生にかかればトロンボーンにしたら難しいチェロのパッセージもなんのその、やはり何ら変わらぬ名人ぶりが存分に発揮されていました。
◆F.ブゾーニ:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ホ短調
あまり演奏される機会のないブゾーニですが、イタリアのトリエステという北東のはずれの町に育ち、その後世界各地を国際的に活動し、最終的にはベルリンに落ち着いた作曲家・ピアニストです。トリエステは現在イタリアの領土ですが、ブゾーニの生きていた第1次世界大戦まではオーストリア=ハンガリー帝国の領土でした。
さて、このソナタは1901年に完成され、全体は5つの部分から構成されています。本日はヴァイオリンがこの曲を得意としているヴォルフ先生、ピアノが岡田先生といった名コンビによる演奏でした。これぞストラディバリのポテンシャルといったヴォルフ先生の張りのある力強い音色、第5部の神聖なる音楽の空気感、素晴らしいブゾーニの円熟期の30分を超える大曲を熱演されました。演奏後にヴォルフ先生にブゾーニのソナタについて伺ったところ、「美しく、そしてエモーショナルな曲、素晴らしい! この曲を弾くには情熱とエネルギーを十分注入しなければならない。そうしたら大変素晴らし演奏になる。そして、この曲の持つ繊細でデリケートな一面も聴衆に伝えられるだろう。」とのことでした。
ほかにも、今日はクラリネットのシュミードル先生、チェロのベッチャ―先生、フルートのアンチロッティ先生など、教授陣が少しずつご披露するという草津国際音楽祭ならではのお楽しみプログラムだったと言えましょう。