音楽祭スタッフによるコンサートピックアップ 8/17(wed)-2
OPENING CONCERT/M. TURKOVIĆ, C. HINTERHUBER, GUNMA SYMPHONY ORCHESTRA
◆N.Rota:Piano Concerto in E Minor ”Piccolo modo antico” (Japan Premiere)
ニーノ・ロータといえば、「ゴッドファーザー」や「ロミオとジュリエット」といったように映画音楽の作曲家で知っている人も多いと思いますが、彼の創作活動の根底は交響曲やオペラも書く純クラシック音楽であり、本日取り上げられた後期ロマン派の作風のような素敵なピアノ協奏曲ホ短調も残しています。…
彼は映画音楽とクラシックの作曲は切り離して考えていたと言われますが、どう聞いてもこの協奏曲は映画音楽の情景描写と重なるロマンチックなメロディにあふれているとしか言いようがない曲になっています。
時代は20世紀後半ですから前衛的な作品がこぞって作られたクラシック音楽界において、なぜ敢えて古めかしい歌心満載なピアノ協奏曲を書いたか…、ちょっと疑問。
そこで、この選曲をした我らがアカデミーのボス(事務局長)にこのあたりを質問!
“そりゃ、彼はもちろん現代音楽だって理解していたさ。でも、やはりイタリア人だもん、結局は歌が書きたかったんだろうね!”とのことでした。
・・・ま、そうでしょうね。
さて、今日のこのホ短調協奏曲のソリストはヒンターフーバー先生でしたが、全体をただよう憂いと気怠さ、しっとりとした雰囲気をみごとに演奏されました。1楽章のカデンツァに表れるロマンチシズムの極みなどは、涙物の名演だったと思います。きっと、この演奏をご覧になった会場のお嬢様方は、目前のロミオばりのイケメン先生とそのうっとりするようなピアノの音色に魅せられ、ジュリエット気分に浸れたのではないでしょうか。 (MT)