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草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル

STAFF BLOG

音楽祭スタッフによるコンサートピックアップ 8/17(sat)

オープニング・コンサート

シューベルト:交響曲「未完成」/ミラン・トルコヴィッチ=群響、タマーシュ・ヴァルガを迎えて

 いよいよ2019年第40回音楽祭のコンサートも初日となりました。お天気にも恵まれ、金管アンサンブル「音泉」(草津だから温泉にかけている!?)による、アルペンホルンが音楽祭の幕開けを告げました。


 オープニングは恒例の群馬交響楽団による演奏で、今年の指揮はトルコヴィッチ先生。草津での群響との共演は慣れたものでもう3回目。
  最初の曲は、ブリツィ先生のソロによるJ.S.バッハのオルガン協奏曲。いつもアイデアとウィットが満載のブリツィ先生は、今回のオルガン協奏曲で2楽章をあえてチェンバロで演奏。その真意は?・・・また後日、ブリツィ先生と話をしたときに聞いておきます!
 さて、トルコヴィッチ×群響のシューベルトですが、なめらかに流れる棒さばきと抜群の反応でシューベルトのもつ音楽の横軸の流れと、瞬発的なメリハリが効いた大変面白い演奏でした。これも意思疎通のとれた両者の関係がうまく合った結果でしょう。今回はシューベルトの第7番「未完成」と第6番(こちらがメイン)を演奏。この6番と7番の間には大きな作曲家としての転換期があり音楽的な違いが大きいのです。第6番は1818年完成(21歳)で、第7番は1822年。第6番まではいわばプロとしての音楽家というよりは私的なコンサートのためといった製作活動だったのですが、1819年からオペラを書くようになり、1821年にはシューベルティアーデが開催、そしてウィーン学友協会コンサートで初めてリートが取り上げられます。そうなると、プロとしての意識が急に高まり、交響曲を作る重圧(それは巨人ベートーヴェン)を意識するようになります。すると、シューベルトは交響曲を作りかけては挫折しての繰り返しのスランプに陥り、「未完成」を含めた未完成の交響曲はこの期間だけでも4曲になります。「未完成」は未完のまま、翌年シュタイアーマルク音楽協会名誉会員に推挙されたことによる返礼として送られ、そして今日も未完のままですが最良のロマン派を代表する交響曲として人気があります。本日の演奏会はこのような若々しく自由に書いていた頃の作品と苦悩とロマン派の傑作の2つの違ったシューベルトをお楽しみいただけたのではないかと思います。

 

 
 
 
 
 
8月17日の演奏曲目

J.S.バッハ:オルガン協奏曲 ト短調 BWV1058
M.トルコヴィッチ(指揮)、C.ブリツィ(Org&Cemb)、群馬交響楽団
F.シューベルト:交響曲 第7(8)番 ロ短調 D 759「未完成」
M.トルコヴィッチ(指揮)、群馬交響楽団
E.エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 作品85
M.トルコヴィッチ(指揮)、T.ヴァルガ(Vc)、群馬交響楽団
F.シューベルト:交響曲 第6番 ハ長調 D 589
M.トルコヴィッチ(指揮)、群馬交響楽団

 

 

 

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