2023年8月17日(木)~30日(水)
2023年のテーマ 「プラハとウィーン 二つの楽都ードヴォルジャークとブラームス」
草津アカデミーでは、毎年テーマを決め、そのテーマに沿って学習し、コンサートのプログラムを構成しています。
プラハのヴルタヴァ川(モルダウ)に架かるカレル橋で、ドヴォルジャークとブラームスが出会うという設定が今年の音楽祭のテーマです。メーリケの名著『プラハへの旅路のモーツァルト』によると、当時の馬車の旅だと、ウィーンからプラハまでは丸3日かかったようです。距離としては300㎞ほどで、今日では3時間の列車の旅。ドヴォルジャークとブラームスの二人が実際に会ったのは、1878年の暮れにドヴォルジャークがウィーンのブラームスの自宅を訪れたのが初めてでしたが、それ以前からブラームスはドヴォルジャークの若い才能を認めていて、オーストリアの国家奨学金に応募された彼の作品に賞を出すよう計らいました。そしてベルリンの出版社ジムロックに推薦して、後の楽譜を出版するように強く勧めています。
ウィーンとプラハは古くから音楽家の交流が盛んで、フランティシェク・トゥーマ(1704 ~74)やレオポルト・コジェルフ(1747~1818)、フランツ・クロンマー(1759~1831)、アダルベルト・ギロヴェッツ(1763~1850)、イグナーツ・モシェレス(1794~1870)らは、ウィーンとプラハの両都市で活躍しました。
モーツァルトは晩年、度々プラハを訪れていて、1781年1月に妻のコンスタンツェを伴って訪れた時は、すでに「フィガロの結婚」がプラハで人気を博していて、その後にプラハで初演するべく「ドン・ジョヴァンニ」をこの地のために作曲しています。
ボヘミヤ貴族として有名なロプコヴィッツ一族、中でもヨーゼフ・フランツ・マクシミリアン・ロプコヴィッツ候は、ヨーゼフ・ハイドンの弟子で作曲家であったアントン・ヴラニツキー(1761~1820)に作品を書かせ、自分の持っているオーケストラに演奏させました。特にベートーヴェンには年金を与えるなど、最大の支持者のひとりで、ベートーヴェンは交響曲第3番「英雄」や第5番「運命」第6番「田園」をすべてロプコヴィッツ候に献呈しています。
このような背景から18世紀から19世紀にかけて二つの楽都で生まれた音楽文化の出会いと交流、そして人間関係を当時の作品を通して辿る2週間の旅を皆様どうぞお楽しみください。
イメージ・イラスト
2023年もポスターやチラシに使われるイメージイラストを絵本作家の西村繁男さんに制作いただきました。