タマーシュ・ヴァルガ チェロ・リサイタル /ブラームス:チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 作品38
シューベルトと同じく早熟の天才と言えば、メンデルスゾーンを挙げないわけにはいかないでしょう。10歳で作曲を始め、12歳から14歳にかけて13曲もの弦楽のための交響曲を、そして16歳ではあの”メンパチ”こと弦楽八重奏曲を書き、これは今なお弦楽八重奏の編成において最も人気のある作品となっています。ヴァイオリン協奏曲にイタリア交響曲、結婚行進曲などなど、有名曲をあげればきりがありません。忘れ廃れさられていた「マタイ受難曲」の演奏によりバッハの認知を復活させたのもメンデルスゾーンであり、また、シューベルトの交響曲「グレート」を発見したのはシューマンですが、その時の復活演奏(ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管)をしたときの指揮者はメンデルスゾーンだったのです。彼無しにはバッハもシューベルトも今日私たちが聞くことはなかった、そしてクラシック音楽界は大きく違ったものになっていたといっても過言ではないのです。
メンデルスゾーンはチェロのソナタも書いていて、本日のヴァルガ先生のリサイタル日では第2番のソナタが演奏されました。伴奏は仲良しのヒンターフーバー先生。毎度のことながらこの二人のまったく不安要素が感じられないアンサンブルと、メンデルスゾーンの若々しさに加えロマンチックな作品の魅力を十二分に引き出した名演だったといえます。(録画ではなかなか実際のホールの音に包まれた感とか雰囲気が伝わりにくいので、今年聞き逃した方は是非来年狙って聴きに来てください!)
8月21日の演奏曲目
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008
T.ヴァルガ(Vc)
F.メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ 第2番 ニ長調 作品58
T.ヴァルガ(Vc)、C.ヒンターフーバー(Pf)
J.S.バッハ:チェロ・ソナタ ト長調 BWV1027(原曲:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ)
T.ヴァルガ(Vc)、C.ブリツィ(Cemb)
J.ブラームス:チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 作品38
T.ヴァルガ(Vc)、C.ヒンターフーバー(Pf)
アンコール/F.メンデルスゾーン:無言歌 ニ長調 作品109
T.ヴァルガ(Vc)、C.ヒンターフーバー(Pf)