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草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル

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2019年のコンサート聴きどころ・ポピュラーコンサート編

これを読むと聴きに行きたくなる!あなたの耳と脳を刺激する今年のコンサートのおすすめポイント。

8月26日(月) ポピュラーコンサート

お待ちかね、今年のポピュラー・コンサートは、テーマ作曲家シューベルトの名曲が3曲並びました。まず「アルペッジョーネ・ソナタ」ですが、このアルペッジョーネとは何か? いまさら、と言われそうですが簡単に……。これはちょうどシューベルトの時代にウィーンで新しく開発された風変わりな楽器の名前です。ひとくちに言ってしまえばヴィオラ・ダ・ガンバをベースに作られた、チェロとギターをミックスしたような代物で、さっそくこれに眼を付けたシューベルトが、ピアノとのデュオによるソナタを書き下ろしたのでした。ところがアルペッジョーネはさっぱり人気が出ず、結局そのまま廃れていってしまったために、後世にはチェロ・ソナタとして伝わることになったのです。曲そのものはシューベルトの音楽の魅力をまことにわかりやすい形で示していることから、彼の室内楽曲の中でも指折りの人気作として、いまも非常にしばしば演奏されています。しかもチェロばかりではなく、ヴィオラやときにはフルートでも……。この日はウィーン・フィルの主力メンバーのひとり、バウアーシュタッターのヴィオラでお楽しみください。朗々と歌うチェロとはまたひと味違う、甘くほの暗い音色に魅了されるはず。

 さて人気作と言えば、ピアノ五重奏曲「ます」も、シューベルトの最もポピュラーな曲のひとつですね。でも、CDなどはともかく、これを実際のステージで聴く機会は、必ずしもそう多くはないかもしれません。というのもこの曲の場合、ピアノと“通常の弦楽四重奏”ではなく、コントラバス奏者の調達が不可欠だからです。ともあれ低音部の充実した響きの上でピアノが華麗に歌うところから、まさに音楽の団欒そのものの、この曲独特の楽しさが溢れ出します。名手、岡田博美のピアノに期待しましょう。

 以上2曲の間に歌われる歌曲「岩の上の羊飼い」は、シューベルトの最後の時期に書かれた名作。と同時にきわめてユニークな1曲でもあります。第一に曲が長大! シューベルトの歌曲は、だいたいにおいて2分から5分程度といったところですが、これは優に10分を超える長さです。さらにクラリネット・パート付き。この楽器特有のキャラクターを効果的(と言う以上)に生かして、何とも言えぬ味わいが加味されます。さて、孤独なトーンで歌い進められてゆくこの歌にも、終わり近くになって、やがてくる春の喜びへの期待が明るく弾み始めます。だがしかし、シューベルトがこの曲を書いたのは最後の年の秋のこと。悲しいかな彼自身は、次の春を迎えることはもうなかったのでした。

文・大木正純

8月26日(月)(19:30~21:30) ポピュラー・コンサート/シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」作品144

出演:R.バウアーシュタッター(Va)、岡田博美(Pf)、四戸世紀(Cl)、天羽明惠(Sop)、K.アダム(Vn)、大友 肇(Vc)、須崎昌枝(Cb)

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