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2019年のコンサート聴きどころ・8月25日編

これを読むと聴きに行きたくなる!あなたの耳と脳を刺激する今年のコンサートのおすすめポイント。

恒例の「合唱とオーケストラ」の日。今年はプログラムの前半に、あっと驚くスペシャルな出し物が用意されました。曲目はベートーヴェンの名作、あのヴァイオリン協奏曲、と言えば驚くことはないじゃないかと言われそうですが、今回は何とそのフルート版、すなわちソロ・パートをフルートで演奏するという珍しいチャレンジです。しかも奏者はウィーン・フィルの誇るいまを時めく名手、カール=ハインツ・シュッツというのですから、これは大きな話題を呼ぶこと間違いありません。

 さて、後半の2曲の合唱曲は今年のテーマ作曲家、大バッハとシューベルトの作品。バッハは敬虔なプロテスタントでありながら、カトリック系の音楽であるミサ曲の分野に、あのミサ曲ロ短調という不滅の金字塔をのこしました。一口に言えば、バッハの人間精神が、宗派の枠を苦もなく乗り越える深さとスケールを有していたことの象徴ではないでしょうか。ところでバッハのミサ曲というと、演奏時間2時間になんなんとするその巨大な「ロ短調」が飛び抜けた存在ですが、実はほかにもいくつか、一般に「ミサ・ブレヴィス」と呼ばれるもの、すなわち一連の典礼文のうちの「キリエ(主よ憐れみたまえ)」と「グローリア(神に栄えあれ)」の2部分だけに作曲した簡略な ―― と言っても決してちっぽけな曲ではありませんが ―― 作品を書いています。それらの多くは、実は自作の教会カンタータなどからの転用ナンバーが主体になっているのですが、むしろそれだけに選り抜きの音楽が並んでいるのが、私たち聴き手には嬉しいところです。今回はそれら「ミサ・ブレヴィス」の中の1曲、ト長調の曲を取り上げます。峻厳・清冽な「キリエ」と美しいソロ・ナンバーを間に挟みつつ晴朗に展開する「グローリア」との対比も鮮やかな、魅力的な1曲です。

 一方シューベルトのミサ曲第2番は、「キリエ」から「アニュス・デイ」まで通常文の全体に作曲した堂々たる作品。早熟の天才として知られるシューベルトですが、この本格的なミサ曲を、18歳の年の春に1週間足らずで作曲したと聞けば、ああやっぱりね、と思われるか、それにしても凄すぎる!とびっくりされるか、どちらでしょうか。現在、CDではこの曲を聴くことが可能ですが、ステージで演奏される機会はめったにありません。優しい叙情を湛えてみずみずしく柔らかに歌い出される「キリエ」を聴くだけで、あなたはシューベルトならではの魅力にうっとりとさせられるはず。ぜひお聴き逃しなく。

 なおプログラム本体の終了後に、ひとつ特別の計画があります。昨年、惜しくも亡くなられたイェルク・エーヴァルト・デーラーさんの追悼として、珠玉の名作《アヴェ・ヴェルム・コルプス》を演奏することになりました。初めにメゾ・ソプラノ独唱とオルガンで、次にア・カペラもしくはオーケストラ伴奏の合唱で……。モーツァルトが生涯最後の時期に、合唱とオーケストラのために書いたこの限りなく美しい小曲を聴きながら、デーラーさんの草津への長い貢献と、良きお人柄を偲びたいと思います。

文・大木正純(草津アカデミー企画委員)

8月25日(日)合唱とオーケストラ/バッハとシューベルトのミサ曲

出演:M.トルコヴィッチ(指揮)、 K-H.シュッツ(Fl)、小貫岩夫(Ten)、萩原 潤(Bas)、天羽明惠(Sop)、小貫岩夫(Ten)、萩原 潤(Bas)、栗山文昭(合唱指揮)、日野妙果(Mez-Sop)、C.ブリツィ(Org)、草津フェスティヴァル・オーケストラ、草津アカデミー合唱団

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