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2017 コンサートの聴きどころ・前編

今年の音楽祭開幕まであと2週間と迫りました。企画委員の大木正純氏よりコンサートの聴きどころについて解説が届きました。これを読んでからコンサートを聴けば10倍楽しめること間違いなし!

 

コンサートの聴きどころ(前編)

文 大木 正純(草津アカデミー企画委員)

 

8月17日(木)オープニング・コンサート

群馬交響楽団による恒例のオープニング・コンサート。今年は長く内外のオーケストラで音楽監督や首席指揮者を歴任し、現在は東京シティ・フィルの首席客演指揮者を務めるヴェテラン矢崎彦太郎を指揮台に迎えます。一方、2曲の協奏曲におけるソロの客演は、2015年よりゲスト・アーティストとして参加し、昨年も直前まで草津で熱演、いきなり難関のミュンヘン国際コンクール最高位入賞のビッグ・ニュースが飛び込んで私たちの度肝を抜いた気鋭の女流ホルン奏者カテジナ・ヤヴールコヴァーと、いまや草津に欠かせぬ存在となったピアノの名手岡田博美の二人。
プログラムにはともに人生の後半をウィーンで過ごした二人の巨匠、モーツァルトとブラームスの名曲が並びます。気の置けない親友だった名手ロイトゲープの影がちらつくモーツァルトのホルン協奏曲と、ピアノ協奏曲最高の名作のひとつブラームスの大作第2番。日の出の勢いのヤヴールコヴァー、一方美しい音楽性のみならず、スリムな外見からは想像しにくい強靱なテクニックも併せ持つ岡田博美、いずれのソロも聴き逃せません。

8月18日(金)パノハ弦楽四重奏団と仲間たち

チェコの誇る老舗クヮルテット、パノハ弦楽四重奏団が草津を訪れるようになってから、もうずいぶん長い歳月が流れました。こよなく美しい、としか言いようのない彼らの極上の音楽は、真実、私たちのかけがえのない宝物です。この日はテーマ作曲家モーツァルトの名作を中心に、彼らのアンサンブルを心ゆくまで楽しむ1日。モーツァルトとしては非常に珍しい短調作品、名作ツィクルス「ハイドン四重奏曲」の中でも異彩を放つ弦楽四重奏曲ニ短調K.421のほか、ウィーン・フィルのヴィオラ奏者ローベルト・バウアーシュタッターを加えた弦楽五重奏曲や、前日に続いてヤヴールコヴァーが登場するホルン五重奏曲といった豪華版の数々が並びます。またハイドンの弦楽四重奏曲ニ長調は、ほかならぬ上記モーツァルトの「ハイドン四重奏曲」に文字通り直接の影響を与えた作品集「ロシア四重奏曲」の中の1曲にほかなりません。

 

8月19日(土)サシコ・ガヴリロフ・ヴァイオリン・リサイタル

いまや押しも押されもせぬ世界的なヴァイオリニストとなった庄司紗矢香をはじめ、幾多の逸材を世に送り出してきた草津のガヴリロフ・クラス。その長く偉大な功績に心からの感謝を捧げる私たちのもとに、日本流に言えば米寿を前にした巨匠が、もう一度、来て下さることになりました。こちらもまた草津のシンボルである名ピアニスト遠山慶子とのデュオで聴く、モーツァルトとベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ! 今年のフェスティヴァルの、これはひとつの頂点です。

 

8月20日(日)合唱とオーケストラ

音楽祭のテーマがモーツァルト、そしてその合唱音楽となれば、何はともあれかの《レクイエム》が特別の存在。これを今回は最も一般的なジュスマイア補完版ではなく、ロビンズ・ランドン版で演奏するところにご注目下さい。このランドン版、CDなどでもまだ採用例はごく少ない現状ですが、決して怪しげなヴァージョンではありません。《レクイエム》がモーツァルトの死で未完に終わったあと、妻のコンスタンツェはまずヨーゼフ・アイブラーに補完を依頼しましたが、彼はその仕事を途中で投げ出してしまう。そこでモーツァルトの弟子だったジュスマイアがあとを引き受けたのですが、その際、彼はせっかくアイブラーが施したオーケストレーションを、全部破棄して一からやり直してしまった。さて、アイブラーとジュスマイアはどちらが良い仕事をしているか。アメリカ合衆国の音楽学者ロビンス・ランドン(1926~2009)は軍配をアイブラーに挙げて彼のオーケストレーションを復活し、残りはジュスマイア版に準拠するとともに、若干みずからの見解も加味して、この新たなヴァージョンを作り上げたのです(1989年)。1回はぜひ聴いてみたいとお思いになりませんか?
この日はほかにも盛りだくさんなプログラムが用意されている中で、これが日本初演となるミヒャエル・ハイドンのレクイエム(未完)が、草津ならではの果敢なチャレンジです。

8月21日(月)岡田博美ピアノ・リサイタル

日本を代表するピアニストのひとりで、このところ草津でも熱心なファンが急速増殖中のヴィルトゥオーゾ岡田博美がこの日の主役。前半はソロが中心で、あまりにも名高い「トルコ行進曲」付きのソナタや、この上なく美しいニ短調のロンドなどが弾かれますが、その中にひとつ、最晩年に、もともとは妙なる特殊楽器グラスハルモニカのために書かれた《アダージョとロンド》が潜り込んでいるのに注目。今回はそれをピアノとオルガンのデュオ版で演奏するというのがまた珍しい。後半はパノハ四重奏団の3人との爽やかな共演で、名作ピアノ四重奏曲第2番が聴衆を心ゆくまで楽しませることでしょう。

8月22日(火)オルケストラ・ダ・カメラ・ディ・ペルージャとウィーンのソリストたち

草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルの人気者集団、好漢パオロ・フランチェスキーニ率いるオルケストラ・ダ・カメラ・ディ・ペルージャに、ウィーン・フィルの名手たちやヴァイオリンのマルクス・ヴォルフも加わって、室内アンサンブルのさまざまを楽しむ一日。ミニサイズの人気作《セレナータ・ノットゥルナ》を含む魅力的なプログラムの中でも、いまや絶好調、カール=ハインツ・シュッツがソロを務めるモーツァルトのフルート協奏曲第2番は、とりわけ聴衆を深く魅了してやまないはず。唯一のモーツァルト以外の曲、コンサートにエキゾチックな風を吹き込むであろうボッケリーニの《マドリード通りの夜の音楽》も、近年、人気上昇中のナンバーです。

 

8月23日(水)ジェンマ・ベルタニョッリ・ソプラノ・リサイタル

アカデミー&フェスティヴァルご自慢の愛すべき、そしてチャーミングな歌姫ジェンマ・ベルタニョッリも、今年のテーマがモーツァルトとあっては、手ぐすね引いてステージを待ちわびているのではないでしょうか。それというのも彼女の、あの伸びの良い、澄み切ったソプラノの美声は、思うにモーツァルトに持ってこい。傑作《すみれ》をはじめとする可憐な、あるいは劇的な歌曲も、また《フィガロの結婚》の名高いアリアやいわゆる演奏会用アリアの数々も、いちだんとその魅力が輝きわたるに違いありません。間にピアノ独奏曲や弦楽合奏曲、あるいは珍しいシュポアの歌曲などを挟みつつ。

講師インタビュー vol.3 

2017 コンサートの聴きどころ・後編

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